一章『夜の界』

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4月20日。 ここ覇闘学園のある教室では、よく怒声が聞こえてくる。 怒っているのは先生ではなく一人の生徒。 「だぁー!!何でお前はいつも俺の近くにいるんだ?」 「別にいいじゃない?好きでやってんだから」 黒影幻夢(クロカゲゲンム)は怒っていた、理由は八方葵(ヤカタアオイ)という女子に四六時中付き纏われていたからだ。 黒影自身にそうさせるような行動をとったつもりはない。 まだ入学して10日程だというのに、と黒影はうなだれていた。 黒影は銀髪のアシメで、アンテナの様に跳ねた髪が頭頂部にあり、いつも紙パックのココアをくわえている。 一方の八方は、ヘアピンで前髪を横に開き、おでこがキレイに見える、茶髪のストレートで活発な女の子という印象が強い。 この覇闘学園は名前のわりに普通の高校で、生徒は普通に過ごし、高い合格率で就職や進学をする。 ある点を除けば、この学校は本当に普通の学校だ。 この学校が普通では無いところ、それは夜になると現れる。 【夜の界】通称「Black・World」。 夜、この学校は生徒達の戦場となる。
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