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ペット禁止らしいマンション入口からは、折しも間が悪く住人が出てきて、明らかに不審な目つきで見られてしまう。
こんなことなら拾うんじゃなかったと思いつつ、名前を追うこと数十秒。
「お、名字が一致するぞ」
ドキドキしながらインターホンを押す。
ピンポーン♪
「はい、どちら様?」
「道路でお宅の物と思われるカード拾いました、○○さんはいらっしゃいますか?」
「あ、少々お待ちください。降りていきます」
インターホンの音に反応して吠えそうになった犬の口を押さえて、約五分後、ちょっぴり挙動不審な奥さんが出てきた。
「○○の家内です……あの、カードは?」
「はい、どうぞ」
奥さんは何故かオドオドしながら、カードを受け取り、素早くうちに茶封筒を押し付けた。
「あの、それお礼です。それじゃ」
うちが何も言い出せないうちに、奥さんは逃げるようにオートロックの扉の向こうに行ってしまった。
「もしかして、犬苦手だったのかな……」
茶封筒には、三千円の商品券が入っていた。善いことはするもんだね。
うちの犬にはちーと災難だったかも、的実話でした。
うちの犬、中型で十キログラムくらいの大きさなんです。嫌いな人は小型犬でも怖いそうですから、中型のうちの犬は論外だったかもしれません。
犬連れて行って、ごめんなさいね。
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