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ある日突然、何の因果か知らないが、うちは魔法使いになってしまった。
そして、いきなりお城に呼ばれて、女王様からうむを言わさず悪者退治の旅に出るよう命じられた――
(いきなり世界ぶっ飛び過ぎだろ、オイ!)
女王様はさも当然と言わんばかりに、大して路銀もくれずこう宣うた……
「さあ行け、我が有能なるソーサリアン『羽月猫』よ」
どうやら、うちはこの御仁の臣下らしく、逆らうことはできないらしい。
大体から魔法使いなんぞになるまでは(いつなったかは記憶にないが)、ごく普通にビーズ細工など営んでいただけなのだ。
誰の陰謀やら、異世界に飛ばされた揚げ句が、魔法使いときたもんだ。
しょうがないので、旅の道連れに、妹をこっちの世界に召喚することにした。
いそいそと魔法陣を床に描き、呪文を唱える。
「出でよ、我がしもべ、妹よ!」
魔法陣の中央に青い煙が立ち上がり、ボワンと人影が現れる。
「うくっケホッケホッ……誰が下僕やて、あぁん?」
格好からして、寝起きモードな妹の機嫌は、すこぶる悪い。何というタイミングの悪さ。
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