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とりあえず、うちはかいつまんで事情を説明した――
この国の王であるマキコ女王から、国に害をなす悪者を退治して来い、と言われたこと。
何となく、その命令には従わざるをえなかったこと。
妹はふてくされたままうちを見ていたが、
「姉ちゃんなーお人好しが過ぎるっちゃない? でもまあ仕方ないか」
と、何とか理解してくれた――と思った、その時は。
少ない軍資金で二人分の装備を整えて、いよいよ出発。進行方向にある森の街道を歩いていると、ゼリーみたいなモンスターが現れた!
ゼリー状の敵に効く魔法は火の魔法と相場は決まっている。うちは呪文を唱えた。
「メラメラ!」
我ながら、何ちゅー呪文だと思う――うちが持っていた杖の先から、火吹き芸よろしく炎が敵に襲いかかり、モンスターはあっけなく蒸発した。
ふっ、ちょろいもんよ。ご満悦で妹の方を振り返ると、何と奴はコンパクト片手に念入りメイク中だった。
あんたには、姉の活躍なんてどうでもいいのね……人選を誤ったわ。
「次のモンスターはあんたが倒しなさいよ」
「やだ」
……こいつぅ……
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