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「あっちゃー、姉ちゃんこれヤバいっちゃない?」
妹はまるで他人事のように、マニキュア塗りながら呟く。こいつ、この期に及んで使えない奴……
しかし、のんびりしていては非常にマズい。うちは時間を止める魔法をかけることにした。
「タンマ!」
途端に、村人達の動きが一斉に止まる。おまけに妹まで!
「あんたにまで呪文かけてませんから」
「……あっそ」
呪文の効果が効いているうちに、スタコラサッサ。何とか、追っ手の着かない辺りまで逃げることができた――と思う、多分。
すると、目の前にさっきの自分そっくりさんが現れ、行く手を阻んだ。
「ちっ、もう少しで作戦通りだったのに」
「何ですと?」
奴は体中をグニャグニャにすると、今度は妹に変身した! しかも素早く妹と並び立って、見分けがつかなくなってしまった。
「わっち、最悪ぅ~……姉ちゃん、うちが本物やけんね」
「何ば言いよーとね、姉ちゃんうちが本物っちゃ」
本ッ当に、最悪だ……かくなる上はこの呪文で対処。
「ケンカ両成敗!」
チュドーン!
杖の先から稲妻がほとばしり、二人の妹に直撃!
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