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ようやくお城が見えてきた。城門も顔パスで簡単スルー。王の間には、いつもと変わらない女王様の姿が見えた。
「女王陛下、ある農村近くで戦ったモンスターが、このような物を遺していったのですが」
うちが巻物を差し出すと、女王様はさっと表情を変え――しばらくして、高笑いし始めた。
「いかにも、その通りよ。あやつを打ち負かすとは、そなたの力、少々見くびっておったわ」
女王様は玉座から立ち上がると、クワッと目を見開いた。
「そなたにはお仕置きが必要だの」
女王様は見る間に、見たことのある女性に変化していく。……と、後ろにいた妹がうちを肘で軽く突く。
「ねぇねぇ、なんでオカンがあげんとこにおると?」
それはうちが聞きたいよ。黒幕の女王様は、よりにもよってうちの母を召喚しなすったようだ。
やり辛いことこの上ないけど、この世界のオチを見ない限り、元の世界には帰れなさそうだし……ここは新作の魔法で勝負だ!
「今日は〆切ぃ!」
効けば母を無傷であっちの世界に戻せる――そう思って渾身の魔力を込めたのに、呪文は母の武器『布団叩き』で、アッサリ弾き飛ばされた。
「何ィ?」
「ホッホッホ、甘いわ」
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