不思議な薬

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 インフルエンザ大流行の街中を歩いて来た次の日、早速熱を上げてしまった。バーゲンに魔多しとは、このようなことを言うのだろうか。  本当にインフルエンザだと大変なので、うちはフラフラな状態で近くの診療所に向かった。  が、半分意識がハッキリしない、足取りも怪しいような有り様……  どこでどう道を間違えたやら、気がつくと見知らぬ病院の前に立っていた。  何はともあれ、病院には違いない。受付で保険証を出し、名前を呼ばれるのを待つ。  しばらくして、名前を呼ばれて診察室に入ったら、何故か猫耳付けた先生が待ち構えていた。 「今日はどうされましたにゃ?」 「……熱が急に上がって、インフルエンザじゃないかと……」  先生が語尾に『にゃ』って――猫耳コスプレになりきりプレイですか? とは聞けず、とりあえず症状を伝えると、 「そうですにゃあ、お薬、処方しましょうにゃ。お大事に~」  ちょっ、インフル検査はせんのかい! と思ったが、傍にいた看護師が「次の方どうぞ」なんて言うものだから、席を立たざるをえなくなってしまった。
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