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うちは仕方なく待合室に戻る……椅子に座る間もなく名前を呼ばれて、支払いのカウンターに行くと、
「お薬出てます、ハイ。液薬飲みきりですから、今すぐ飲んでくださいね」
と、受付の看護師から謎の液薬を渡された。
「今、すぐ、ですか?」
「うん、あんたのためだから」
いきなりタメ? しかも某CMのパクリ? と思いはしたが、あまりの迫力に根負け……
うちは薬瓶の蓋を開け、湯上がり牛乳よろしくグイッと一気飲みした。
昔、風邪薬で処方されていたカフコデシロップのような、舌に張り付く甘ったるさ。
すると、急に背中に違和感を覚えた――熱が更に上がってきたのか、足がフワフワしてくる。
……って、ええ? 床から本当に足が浮いている? ふと、待合室の奥にある、洗面台の鏡が目に留まった。
背中から、羽が生えている!?
しかも羽はうちの意思とは関係なしに羽ばたいて、うちの体はどんどん高く舞い上がっていく。
すると受付にいた看護師が何かのハンドルをクルクル回し始めたかと思うと、天井がゆっくり二つに割れていった……
「ヰッテヨシ!」
ゐってよし、て、そんな天井から出て行くなんて前代未聞ですがなー!
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