不思議な薬

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 ――ズブシャッ。  うちは、生成色した、広大な泥沼(?)の上に不時着した。何とか、命は助かったものの……ここはどこ?  泥沼というか、水気をタップリ含んだ海綿状の何か、いやいや、何かもっと――食材っぽいような。  この匂い、豆とニガリの匂い! もしかして、豆腐? 「キサマァ、俺様の柔肌を傷つけてんじゃねぇ!」  尻餅ついたその下から、突如濁声が響いた。 「あのー、つかぬことを伺いますが、ひょっとしてうちが落っこちたのは」 「豆腐に決まってんだろ、とっとと降りやがれこのスカポンタン!」  豆腐って、こんなに饒舌だったかしらん。何はともあれ、相手はかなり怒っていらっしゃる。  うちは更にがなり立てられながら、その柔肌をグショグショにしつつ、やっとの思いで這い降りたのだった。  そして、降りてみれば見上げるほどのドデカい巨大豆腐――その柔肌には、無残な傷跡が残された……  悪気はなかったのよ、文句はあの羽に言ってちょうだい。  あ、そうそう。あんたのおかげで命拾いしたよ。これからはもっと、丁寧に調理したげるからね。
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