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その後、馬車に10分程揺られ続け、ようやく西の森に到着した。
「では、いってらっしゃいませ。帰りたいときは私に言ってください」
「ああ。わかった」
アランは馬車の運転手にそう言うとファルスと頷き合い、西の森へと入っていった。
森の中は明るく、魔物が出るのかも怪しいくらい静かだった。
「…なぁ、アラン」
「ああ。静かすぎる…。魔物の気配も全く無い」
アランはそう言うとさらに森の奥へと進んだ。
「…ん?」
アランはふと目を留めた。
人が立っているのだ。
赤い瞳、赤い髪、そして赤いマントの男――
そう、忘れるはずもない十年前に家族を殺した男の姿だった。
「…見つけた」
「どうしたアラン?」
アランはファルスの言葉を無視して刀を抜き、男に向かって走った。
男はアランに気付くと少し驚いた表情をした。
「うおおおおぉぉ!!」
アランは高く飛び、そのまま男に刀を振り下ろした。
「チッ」
男は短く舌打ちをすると素早くアランの攻撃をかわした。
「はぁぁ!!」
アランは連続で男に刀を振るが、男は華麗な動きで全てかわした。
「初対面の人間を相手にいきなりどうゆうつもりだ?」
男の声は低く、落ち着いた口調で言った。
「初対面?笑わせるなよ、こっちは嫌というほど覚えてる!」
アランは刀を再び振るが、男は背中に背負っていた槍も取り出し、アランの攻撃を防いだ。
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