プロローグ

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朝が訪れる。  少年は大きくあくびをしてベッドから起き上がる。  パジャマから着替え、リビングへと移動した。  いつもなら賑やかなリビングが今日はひどく静かだった。 少年はためらいながらリビングの扉を開けた。  「!!!!!」  リビングの中を見て少年は絶句した。  血まみれの床や机。  無惨な姿に変えられた両親と兄。  「なん…で?」  かすれた声が静まり返ったリビングの中に響く。 「なんなんだよ…!?」 頭が混乱して何がなんなのかよくわからない。  それでも少年は最後の望みに懸け、両親と兄の所に駆け寄る。 ――無常にも息は無かった。 「父さん…母さん…兄さん…!!うわああああああああああ!!」  大声で泣き叫ぶ中、少年は背後から気配を感じた。 振り返るとそこには赤い髪、赤い瞳、赤いマントを纏った男が立っていた。  その男の表情からは何も読み取れない。  感情の無い顔。 少年は瞬時に感じた。  ――こいつが皆を殺した。 そう考えただけでかつて無い恐怖が少年を襲った。 男はじっと少年を見つめる。 ――殺される。 その感情が頭の中を支配する。 だが、以外にも男は少年に背を向け、家から出た。 『いつか私を殺しにこい――』 その言葉だけを残して。 徐々に恐怖が薄れ、少年に別の感情が芽生えた。 「…絶対…見つけ出して殺す…!もっともっと強くなって必ず!!くっそおぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」 この日から。  少年は復讐の為だけに生きることを誓った。 それは残酷な運命か。 それとも神が与えた試練か。 物語は始まった。 ――今、運命の道が交差する。 cross road
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