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ギルド。
王国からの魔物討伐の依頼から一般人の依頼までが集まる場所である。
世界中の情報もギルドに全て集まるので、立ち寄る人は多かった。
そこに一人の男がいた。
彼の黒い髪は腰まで伸びていて、顔立ちは非常に整っている。
全身黒い服の上からさらに黒いマントを纏い、腰には刀をさしている。
「アラン・ジェラルド様、頼まれたものを持ってきました」
ギルドの受け付けの女性が資料を持ってくると彼――アランは資料のページをペラペラとめくり始めた。
「…やはり情報は少ないか」
アランはため息をつくと読んでいた資料を閉じた。
「どうです、目当ての情報は見つかりましたか?」
受け付けの女性は笑顔を見せながら言った。
「いや……時間を取らせて悪かった」
アランは資料を女性に返し、情報料を払うとギルドを後にしようとした。
あの日――家族が殺された日から十年が経った。
未だに家族の仇は見つからず、アランは各地を転々としていた。
「おぉーい、アランー!!」
アランからギルドから出ようとしたとき、そんな声が聞こえた。
自分の名を呼ばれたのでアランはめんどくさそうに振り返った。
アランを呼び止めた男は短い金髪で、かなり重そうな青い鎧を装備している。
「…ファルスか、じゃあな」
「うぉぉい!!じゃあなじゃねえだろコラ!!」
ファルスと呼ばれた男――ファルス・エンブレムは慌ててアランを追い掛けた。
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