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「…で、何の用だ?」
アランは不機嫌そうに振り返って言った。
「ちょっと手伝って欲しい依頼があるんだけど…」
「断る」
「せめて何の依頼か聞けよ!!」
アランとファルスのやり取りを見て、周囲からわずかにクスクスと笑い声が聞こえる。
「西の森にダイアウルフの群れが住みついたみたいでさ、討伐の依頼が王国から来てんだ」
ファルスは若干興奮しながら言った。
「ダイアウルフが森にか…?おかしな話だな」
「だろ?行ってみねぇか?」
ファルスはアランの肩をポンと置いた。
「……この町でやるべきことはもう無いんだが……町を出る前にお前の手伝いをするのも悪くない、か」
仇の情報はもうこの場所には無いだろうと見切りをつけたアランはこの町を出るつもりでいた。
「マジか!?いやぁ、お前が居てくれれば安心だよ!」
ファルスはガッツポーズをして喜んでいた。
「今から行くのか?だったらさっさと終わらせるぞ。明日には出発したいからな」
「あっ、ちょっと待っててくれ!依頼受けてくるから!!」
ファルスはそう言うとギルドの受け付けへと急いだ。
アランとファルスはたまたま同じ依頼をやってから知り合い、それからはギルドに行くたび、顔をあわせている。
ファルスはまだ剣の腕は未熟だが、アランの華麗な剣技を見てからすっかりアランのことが気に入って、何かとアランに着いてくるのだ。
「悪い、待たせちまったな」
数分後、ファルスは依頼書を片手に握りながらアランに近づいてきた。
「西の森なら町の馬車で行けばいいか。行くぞ」
「おうよ!!」
アランがギルドから出るとファルスもそれを追うようにギルドを出た。
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