2/2
1人が本棚に入れています
本棚に追加
/9ページ
腕を無くし 足を奪われ それでも、ここまで君を守って走り抜けた 最後の最後、扉を通るには時間が足りない けれど、君だけは死なせないから そう思いながら、何も言わずに君を投げる 間に合って良かった そう思いながら、閉じた扉に背を預けて そのままその場に座り込む。 扉を叩く振動 どうして、と叫ぶ声がわずかながらに聞こえてくる 最後に、抱きしめる事もできなかったか なんて考えながら 残された腕を眺めて 終わりの時間まで せめて君に聞こえるようにと 歌を歌うことにした 君が好きだった歌 君が愛した故郷の歌 一度も見る事のできなかった君の故郷 想像の中の風景を歌に込めて。
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!