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腕を無くし
足を奪われ
それでも、ここまで君を守って走り抜けた
最後の最後、扉を通るには時間が足りない
けれど、君だけは死なせないから
そう思いながら、何も言わずに君を投げる
間に合って良かった
そう思いながら、閉じた扉に背を預けて
そのままその場に座り込む。
扉を叩く振動
どうして、と叫ぶ声がわずかながらに聞こえてくる
最後に、抱きしめる事もできなかったか
なんて考えながら
残された腕を眺めて
終わりの時間まで
せめて君に聞こえるようにと
歌を歌うことにした
君が好きだった歌
君が愛した故郷の歌
一度も見る事のできなかった君の故郷
想像の中の風景を歌に込めて。
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