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夕食の支度をした後で食べるまで少しだけ時間があったので愛美は自分の部屋に例の人形を取りに戻った。
ドアノブに手をかけるとドア越しにカタカタと物音がしたような気がした。
…まさか…誰かいる訳でもあるまいし。
愛美は兄弟もおらずペットも飼ってはいなかった。
父はまだ仕事から帰っていないし、母は下のリビングにいる。
…誰も、いる訳がない。
彼女は脅える気持ちを押し殺し、心臓の音と荒い息づかいを必死で抑えながら何の警戒も必要ないはずの自分の部屋のドアを開けた。
「……………。」
部屋の中はどこも変わったところはなかった。
いつもの机と椅子。
クローゼットもいつも通り。
ベッドもカーテンも何の変化もない。
オカルト現象を気にしていた訳では無かったが、泥棒に入られるような場所でもない。
安心したら急に力が抜けてきた。
何をそんなに脅えていたんだろうとベッドに倒れかかり少し目を閉じる。
…カタカタ…。
また物音がした。
今度はもっとはっきりと。
愛美が飛び起きたのは言うまでもない。
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