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『キャー翼様ぁー!』
(黄色い声、いつもの声。熱い眼差し、私への視線。集まる女達、皆私目当て…)
私は、大河内 翼(おおこうち つばさ)これでも一応女。でも、ここにいるやつらは其を知らない。私は男として来てるから。…って言うかどこでも男なんだけど。
私の性別を知ってるのは、家族くらいかな。
べつに、女が好きだからじゃない。むしろ嫌い。だから嫌いな女ではいたくないだけ。…姿だけでも。
『翼様ーまた歌ってぇー』
「…しょうがないなぁーじゃぁ、ちゃんと聞いてね。」
『もちろんですー』
(理解できない。だいいちこの中でちゃんと私の歌を聞いてるのはいるのか?…やっぱりこんな女にはなりたくない…)
(今、私は一人でストリートで歌を歌ってる。
女達がいるからじゃない。ただ、歌うのが好きで、私の全てだから。
煩くしてくる女達はいるけど、ちゃんと歌を聞いてくれる人もいる。
こう見えても、何回かはスカウトもされた。性別を隠してるから受けなかったけど。)
「…ふぅ。じゃぁ、今日はこのくらいでお開きにしよう。…疲れたしね。」
集まって来てた女達が暫く騒いでたけど、リーダーみたいな奴がそれを鎮めると、皆しぶしぶ帰って行った。
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