35人が本棚に入れています
本棚に追加
皆が帰るのを見送ると、一息つき荷物をまとめて立ち上がると、目の前に一人の男が立っていた。
(…なんだ、こいつ。スカウト…ではないな…)
「いやー兄さんモテモテやなぁーホンマ羨ましいわー」
「…は?」
「あぁ~スマンいきなりビックリやな。わいは草薙 正輝(くさなぎ まさき)いいますーよろしゅうなー」
「…は?」
「えっと、いきなりでビックリやと思うけどー兄さんうちのバンドに入らん?」
「…は?」
「兄さん、いい声(もん)持ってるさかい。実は今、わいのとこのバンド、ボーカル抜けてしまうやわー。兄さんの声はわいのとこのバンドにピッタリやし、なによりファンが多いからなー入ってくれたらもう百人力や!」
「…突然何言ってんのオマエ。意味わかんねーし」
「へ?だからー兄さんにわいんとこのバンドに入って欲しいんよー」
「…興味ない…」
「うわっ!一刀両断?!まぁ、まぁ、すぐに結論出さなくてもええやん?今度、ボーカルが居る最後のライブがあるし、そこに来てから考えようや」
「…面倒…」
不機嫌な顔の私に気にもせず、無理矢理チケットを渡す。
「えっとーライブ前に一応紹介したいから、明日の夕方5時にここで待ち合わせなー忘れたらあかんよーほななー」
関西弁の男は、チケットを渡し勝手に約束だけして去って行った。
「…紹介って。入るって言ってねぇし。」
無理矢理渡されたチケットを雑にしまうと、家に帰った。
最初のコメントを投稿しよう!