出会い

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皆が帰るのを見送ると、一息つき荷物をまとめて立ち上がると、目の前に一人の男が立っていた。 (…なんだ、こいつ。スカウト…ではないな…) 「いやー兄さんモテモテやなぁーホンマ羨ましいわー」 「…は?」 「あぁ~スマンいきなりビックリやな。わいは草薙 正輝(くさなぎ まさき)いいますーよろしゅうなー」 「…は?」 「えっと、いきなりでビックリやと思うけどー兄さんうちのバンドに入らん?」 「…は?」 「兄さん、いい声(もん)持ってるさかい。実は今、わいのとこのバンド、ボーカル抜けてしまうやわー。兄さんの声はわいのとこのバンドにピッタリやし、なによりファンが多いからなー入ってくれたらもう百人力や!」 「…突然何言ってんのオマエ。意味わかんねーし」 「へ?だからー兄さんにわいんとこのバンドに入って欲しいんよー」 「…興味ない…」 「うわっ!一刀両断?!まぁ、まぁ、すぐに結論出さなくてもええやん?今度、ボーカルが居る最後のライブがあるし、そこに来てから考えようや」 「…面倒…」 不機嫌な顔の私に気にもせず、無理矢理チケットを渡す。 「えっとーライブ前に一応紹介したいから、明日の夕方5時にここで待ち合わせなー忘れたらあかんよーほななー」 関西弁の男は、チケットを渡し勝手に約束だけして去って行った。 「…紹介って。入るって言ってねぇし。」 無理矢理渡されたチケットを雑にしまうと、家に帰った。
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