■モーセ五書

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エジプトの奴隷からの解放の約束、誓約がシナイ契約。1)ヤーウェの神のみを神とし、他の者に(王にも)屈しない自律/立の誇りと自負。2)部族連合共同体を、王権無しに維持する自治ルールである律法の公布と遵守。またモーゼ五書で特徴的なのは、預言書・歴史書や詩編と異なり、ダビテ(政治)的メシヤ思想が全くないこと(王制については、創生17・6、16。創生35・11。申命記17・14~18にみられるが)。また新約聖書に見られる、終末復活思想などは見当らない(旧約後期のダニエル書やマカバイ記にその萌芽は出現するが)。 創世記――J.E.P.三資料からなる 前半(1~11章)が、天地創造から、アダムの楽園追放――カインのアベル殺し――洪水による粛清(ノアとの契約)で、創造神話。後半(12~50章)が、族長物語として、アブラハムのカナンへの旅(甥ロト、妻サラ同伴)での神との出会い、ソドム滅亡物語、イサクの奉献など。イサク、ヤコブ物語、ヨセフ物語と続き、一族のエジプトへの下向で終わる。特徴=天地創造は、世界と人間の祝福。失楽園は、神への背きのプロローグから始まり、カナン(将来侵入予定)の地での出来事を通じて、各部族(アブラハム、イサク、ヤコブ)の神の、選びと祝福、未来(子孫繁栄と嗣業)への希望と保証の予告がある。土地取得と子孫(12部族)繁栄の契約(ノア、アブラハム、ヤコブとの契約)と各部族の出自の同一を述べ、全イスラエル部族の連合団結を基礎付ける。 出エジプト記――J.E.P.D.四資料からなる モーセの召命とエジプト脱出。過ぎ越しの出来事。紅海を渡り、荒れ野に。シナイ契約、安息日規定、カナン進軍の準備(幕屋や祭具)など。エジプトの奴隷から解放されたイスラエルが、シナイ契約、律法授与により、自律/立の民に旅立つ物語。特徴=出エジプト、荒れ野における神の選び、栄光の顕現、シナイ契約のクライマックスなど、旅程のなかでの事件を通じて神の意志の明確化と信仰共同体に脱皮が物語られ、そして、神からの掟としての律法と、王権(軍隊や警察モーセ五書3力)によらず、
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