598人が本棚に入れています
本棚に追加
「家の鍵を無くしたんだ」
彼の目はほんの少し潤んでいた。
木の葉の隙間からこぼれた日差しが彼を照らす。彼の潤んだ瞳もキラキラとしていた。
「僕は学校が終わるとこの公園に寄ってそれから家に帰るんだよ」
同じ校区なのかな?
そう言えば私名前も聞いてないや。
「私の名前言ってなかったよね? 私、川村若菜。中2だよ。貴方は?」
「僕は石井勇希。若菜ちゃんの一つ年上だよ」
身長は高いけど歳は私より下だと思っていた。
「勇希君、鍵探したの?」
「探したけどなかったんだ……もう少ししたらお母さん家に帰ってくるから、もうちょっと公園にいるよ」
「じゃあ、私とお話していようよ」
私は自分の言った言葉に恥ずかしくなった。
「えっと…勇希君が嫌じゃなかったら…」
彼は人懐っこい顔で笑いながら頷いた。
最初のコメントを投稿しよう!