第二章

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「家の鍵を無くしたんだ」  彼の目はほんの少し潤んでいた。  木の葉の隙間からこぼれた日差しが彼を照らす。彼の潤んだ瞳もキラキラとしていた。 「僕は学校が終わるとこの公園に寄ってそれから家に帰るんだよ」  同じ校区なのかな?  そう言えば私名前も聞いてないや。 「私の名前言ってなかったよね? 私、川村若菜。中2だよ。貴方は?」 「僕は石井勇希。若菜ちゃんの一つ年上だよ」  身長は高いけど歳は私より下だと思っていた。 「勇希君、鍵探したの?」 「探したけどなかったんだ……もう少ししたらお母さん家に帰ってくるから、もうちょっと公園にいるよ」 「じゃあ、私とお話していようよ」  私は自分の言った言葉に恥ずかしくなった。 「えっと…勇希君が嫌じゃなかったら…」  彼は人懐っこい顔で笑いながら頷いた。
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