第二章

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 家に帰るとエプロン姿のママがキッチンに立っていた。 「今日は遅かったわね」  そう言いながらママは小皿に入れた一口分のカレーを渡す。 「ちょっと甘いかな?」  私はカレーを口にいれた。 「うん。美味しいと思うよ?」 「そぉ?」  ママはカレーの鍋をかき混ぜながら言った。 「着替えて来る」  私はリビングのドアをあけ自分の部屋へ向かった。  石井勇希君か……。  私は彼のことを思い出していた。  ちゃんと家に入れたかなぁ……。  その時私の携帯の着メロの音楽が部屋に響いた。  空からのメールだ。 《若菜ぁ。今日ね、先輩と一杯話せたんだよ。ふたりっきりじゃなかったけど、途中まで一緒に帰っちゃった!》  空と同じバスケ部のモテモテ先輩に空は夢中らしい。  どうせ私は彼氏なし、好きな人なしの寂しい人間ですよー。
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