第一章

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「若菜ー。早くしないと遅れるわよ」  一階から叫ぶママの声を遠くに聞きながらに私は眠る。  ドタバタと階段をかけあがる音――― 「若菜! 早く起きなさい!」  ドアが開くと同時にママの怒鳴り声が部屋に響く。  「あ、ママおはよー」  ママは片手におたまを持ちながら呆れた顔をする。 「まったく! 今日は教会行くんでしょ?」 「あ…忘れてた」  ママはブツブツ言いながら今来た階段を降りていく。  私、川村若菜。  日曜日なのにゆっくり寝かせて貰えない中学二年生。  急いで着替え適当に寝癖をなおす。  こういうとき髪が長いって楽。  耳の横で二つに結んで、はい終了!  そして、アクセサリーボックスからロザリオを取出し首にかける。  「今日もいい日にしてよね! アーメン!」  あはは、ママが聞いたら怒るだろうな……
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