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「私は酷い母親だったの…」
愛さんは目を潤ませほんの少し唇を噛んだ。
「空、ママのこと軽蔑するかも知れないけど聞いてくれるかな?」
空は何も言わず頷いた。どんな話をするのだろう。私は握り締めていた手の平の汗を服で拭った。
愛さんは一度目を閉じ気持ちを落ち着かせるように深く呼吸をした。
「空にはお兄ちゃんがいたのよ。それは空も知っているわよね」
空は頷く。
「海斗はパパと前の奥さんとの子供だったの。前の奥さんは若くして亡くなってしまったの……。それから何年かしてママとパパは出会ったの」
愛さんの潤んだ目から涙がこぼれた。
私は声を出さずに涙を流す愛さんに見惚れていた。私も大人になれば、あんな綺麗な泣き方が出来るのかな……
そして、愛さんは指で涙を拭うとまた口を開いた。
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