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むかしむかしあるところに
黄色い王女が治める
悪逆非道と呼ばれた王国がありました。
王女の齢は十と四。
それはそれは可愛らしい王女でした。
王女はとても美しい黄色い御髪を持ち、透き通るような輝きを放つブルーの瞳をしていました。
彼女はとても無邪気で
とても残酷で
とても愚かで
とても無力だったのです。
黄色い王女が治める黄の国は、
国民は貧しく、
その日その日を生き抜く為の食糧にも困窮していました。
街には活気等無く。
店店に並ぶ商品も薄汚れて埃を被り、煤けた八百屋には哀れに萎びた僅かな野菜が置かれているだけでした。
大人達は我が子を守る為に飢えと闘い、やがて一人二人と死に絶えて逝きます。
遺された子供達は生きる為に盗みを働くようになり、捕らえられた子供達は憲兵に突き出され二度と帰る事はありませんでした。
黄の国は決して痩せた大地ではありません。
育てれば緑生い茂る青々とした野菜等が豊富に収穫出来ました。
しかし、それらは全て、
黄色い王女への献上物なのです。
黄の国の国民達が背負う税はとても重く。
何もかもが黄色い王女へ献上されるのでした。
その為に王宮はとても豊かで緑に溢れた楽園でした。
王宮と街々との貧富の差が激しい事を黄色い王女はほんの少しも気に留める事はありません。
それが当然と思っているからです。
それは、彼女が幼くして頂点に君臨した故の無知で我儘放題な国政を強いた為と、彼女の周りの家臣達が、そんな王女の我儘を止められない所為でした。
後に、
悪ノ娘と畏怖され
哀れな最期を遂げる
とても無邪気で
とても残酷で
とても愚かで
とても無力な
黄色い王女の物語は
彼女が産声を上げたその時に始まりました。
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