悪ノ娘ノ物語【一】

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  私と君は二人で一人。 だった筈なのに。 私の世界は、 君が居たからこそ意味があって、 君が居たからこそ存在する意義がある。 生まれてすぐの私達には、国の存続だとか、王位継承だとか、そんな大人達の都合は関係無くて。 ただ、 二人で一緒に居られれば、 それだけで幸せだった。 この世界には、万国共通の古い言い伝えがある。 王家ニ産マレシ双子ハ世界ヲ混沌ヘ誘ウ。 事実、数百年昔に王家に授かった双子は、自国ばかりか他国までをも巻き込み大規模な戦争の引き金を引いたらしい。 そのまた百年昔に王家に授かった双子は、世界の全てを己等の手中にするべく他国への侵略を強行し世界は数十年の長きに渡る戦を演ずるも結局双子は捕らえられ、斬首刑になったとか。 そして、今世。 黄の国の王家に私達双子は産まれ落ちた。 それはそれは大変な事態だったそうな。 産婆や女中共は恐怖に悲鳴を上げ、大臣達は祝いの讃辞より早く緊急会議。父王は喜びよりも酷く落胆し、母王は双子を産み落とした事に嘆き悲しみ、ついに双子をその胸に抱く事無く自ら命の華を散らした。 私達双子は祝福される事等無く。 ただ、衣食住を与えられた。 散々物議を醸した大臣達の緊急会議の結論はこうだ。 『古来より王家に産まれる双子は禁忌。よって先に産まれし王女を継承者とし、後に産まれし王子には城を去って頂く』 この時 既に四つの年を跨いで居た双子はお互いをとても大切に想い合って居て。 愛される事を知らない双子は互いが互いを愛さずには居られなかった。 私達は、幼いながらも周りから疎まれているのを知って居た。  
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