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私は、この黄ノ国を統べる王女。
齢はもうすぐ十四。
愚民共は確かな憎しみを込めて私をこう呼ぶ。
― 悪ノ娘 ― と
私が王女に即位して幾年。
この国は私の思い描く通りに綺麗に醜く腐って居た。
年を重ねる毎に税金を増やし続け、
逆らう愚民は老若男女問わず容赦亡く切り捨てて来た。
貢がれる調度品は超が付くほどの一級品のみを許し。
独りでは到底喰べ切れぬ贅沢極まりない豪華な食事を『不味い』と床に投げ捨てて。
今や愚民共と私の間には決して相容れぬ深い深い亀裂が生じて居た。
卑しく貧困に喘ぐ愚民が
『悪ノ娘さえ居なくなれば』
と
苦虫を噛み潰したように憎々しげに漏らす言葉を聴きながら。
私は独り
至福に満ち足りた心からの笑みを浮かべる。
そうだ。
もっと苦しむがいい。
もっと嘆くがいい。
此が私から彼を奪ったお前達愚民共の報いだ。
「王女様」
不意に呼ばれて振り返る。
至福の時間を邪魔をされた私はすこぶる機嫌が悪い。
私は私以外の人間を誰一人認めない。
無論
それはメイド所か大臣達とて例外では無い。
今まで私に意見した者は全て首をはねてやった。
最初に首と銅が離れたのは確か、
私に彼はもう居ないと告げたあの醜い小太りの大臣だった気がする。
「‥…私がバルコニーに居る間は声を掛けるなと言ってあるわよね。」
「っ!!!も、申し訳ございませんっっ!!!ぁ、あの、裏城門に王女様に会わせろと執拗く喚いている輩が居ると急ぎお伝えせよと言付かりましてっ、その…っ!!」
嗚呼。
殺されるかもしれないとパニックになっている。
生にしがみつく愚かな醜態。
眼尻に滲む涙。
必死に許しを乞うて縋る。
愉快だ。
「裏城門?‥どうせまた城下の愚民が減税を訴えに来ているのでしょう?切り捨てておしまいなさいな。」
全く。七面倒臭い。
「は、はぁ。それが‥…その‥…」
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