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まあ、何度も言うが小さい自分には天秤なんて分からず。取りあえず掴んだ訳で、この天秤がやたら鋭利なもんだから、スーっと指先を鋭く切っちまったんだ。
んで、運悪くその血が天秤に付着した途端。
――天秤が段々と、淡い光に包まれたんだ。
勿論、何が起こったのか分からない。驚いて、目をパチクリさせる事しか出来ないまま。天秤を見つめてた。
そして、カッと一際強い輝きが起こったと同時に……おれは意識を失ったんだ。
目が覚めたのは、外を見て暗いなって思ったから夜だと思う。
おれは布団で横になっていた。隣りには、いつもの何倍も気難しい顔をした祖父さん……。
突然、祖父さんの大きな手の平が頭に伸びた。
おれは咄嗟に叩かれると思い、身を縮ませ瞳をギュッと閉じた。
だけど一向に、その手の平が頬や頭を叩く事は無く。静かに撫でられた……。
「――お祖父ちゃん、ごめんなさい」
ズキっと心が痛んだ。叩かれるよりも、本当に悪い事をしたと思った。
祖父さんは、徐にそっと――頬を撫で。
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