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「ぁ………」
喪失感。
「逝ったんだ…」
感覚で分かる。
何故なら、彼は僕だから。
無理矢理この世界に連れてこられた、違う世界に住む僕。
大した科学力がある訳でもないのに無理矢理連れてきたから、身体の構造も、性能も、記憶も、人格すら、変わってしまった。
と言っても、彼の人格なんて他の人から見たらないようなものだけれど。
彼と話せたのは、僕だけだから。
―――――――――――――――――
『なぁ、』
頭の中に響く、感情がないような―僕の―声。
「なに?GHOST」
彼の水槽の前で語りかける。
彼を水槽に入れておかないとすぐに大量の人が死ぬ事になるから。
『お前のやっている事は正しいのか?』
「そんなの分かんないよ。ただ、僕は間違ってるんじゃないかって思うよ」
『だったら、なんで止めねぇんだ?』
「――今更、止められないでしょ?」
『訳分かんねぇ』
「うん、僕もよく分からない。だからこそ、君に手伝ってもらおうと思ってる」
『――人を殺められるなら、それでいい』
―――――――――――――――――
「……………」
彼が消えた事で、彼の吸収した炎が身体に流れ込んでくる。
最終決戦。
ボンゴレに勝ったとしても、ユニが命を落としたら負け。
そう考えると、勝機はないに等しい。
彼女のことだ。僕の手に渡るくらいなら死ぬだろう。
その時は、
「地獄で会おう、GHOST」
心と身体の準備は整った。
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