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なにをしてもいい子にしている少年、そんな少年をけんきゅういんたちはふしぎに思っていました。
ふと、一人のけんきゅういんが思い出しました。少年がお母さんに言われていたことを。
「ウサギさんといい子にしててね。そしたら、お母さん迎えにいくから」
けんきゅういんは少年がお母さんの言ったことを信じてまっているのだと思いました。
それからけんきゅういんたちは“じっけん”をはじめました。
つぎの日の朝、少年が目をさますとウサギのぬいぐるみが見当たりません。
“もるもっと”たちに聞いても、だれも知らないといいます。
少年が“もるもっと”たちに聞きながらウサギのぬいぐるみをさがしていると、けんきゅういんが来ました。
けんきゅういんは少年におはようと言ったあと、少年にこう言いました。
「君が持っていたぬいぐるみ、あれは我々の知的好奇心に基づいた実験に使用させてもらったよ」
「原形は留めてないがこれは君に返そう」
コレガ、キミノヌイグルミダ
けんきゅういんが言っていたことは少年にはまったく分かりませんでした。
さいごのことばをのぞいて
けんきゅういんが少年にわたしたのは、布とワタのかたまりでした。
少年はそれを見て、さけんだり、泣いたり、そんなことはしませんでした。
それを見て、けんきゅういんに、はじめて話しかけました。
「ブブのかわりに、僕チンと遊んで?」
けんきゅういんはくだらないと言いかけました。でも、言えませんでした。
けんきゅういんは、真っ赤になって、うごかなくなりました。
いっぱい“じっけん”された少年はふつうの人とはちがってました。
でも、少年はそんなこと知りません。
けんきゅういんがうごかなくなってしまったので、ほかのけんきゅういんたちや“もるもっと”たちと遊びました。
それでも、みんなはすぐ真っ赤になってうごかなくなります。
遊んでくれる人がいなくなった少年は、今度はもので遊びはじめました。
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