動きだす二人の時間

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「私は待ちましたよ?今年で20年になります。長かった……。でも貴女は戻って来た。遺言通り戻って来てくれました。」 微笑むシャスタに怪訝な顔をする。 「私がその人の生まれ変わりだって言うの?永遠の命ってどういう事?貴方が20年前に26歳だったのなら、今は46歳のはずでしょう?とても46には見えないわ。」 「私はコンピュータですからね。寿命はないんです。」 彼女の眉間のシワが深くなったのを見て苦笑した。 だが、彼女には理解してもらわなくてはならない。 シャスタはすべてを話した。 二人が愛し合った理由や自分が人間になれる訳を……。 「OK、シャスタ。それを信じるとして……なぜ私が彼女だって言うの?」 微笑みモニターに映像を映し出す。 「え?私……じゃないわよね……。」 ビデオの中で楽しそうに笑っている女性を見て驚くマクファーソン。 自分が映っているのだ。 「これは私の妻、シルビア・ナイトです。生まれ変わる前の貴女ですよ。」 「こんなの他人の空似よ。偶然だわ。」 「ではどうして私に声を掛けたんです?」 「それは……貴方が辛そうに見えたからよ。困ってる人を放っとけないし、懐かしい感じもしたから……。」 懐かしさの理由は分からないが、とにかく放っとけなかった。 .
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