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「私を覚えているからですよ。」
「違う。違うわ。私は生まれ変わりじゃない。」
信じろと言う方が無理なのかも知れない。
「いいえ、貴女は間違いなくシルビアです。」
「違うったら。いい加減にしてよシャスタ。」
「ほら、貴女は私の名を呼んでいる。私は名乗ってもいないのに。」
「う、嘘!嘘よ!私は私、誰の生まれ変わりでもないわ!」
正直に言うと彼に好意を持ち始めている。
だが彼は自分を見ていない。
自分にシルビア・ナイトを重ねて見ているのだ。
自分を見て欲しいのに━━。
「貴女はシルビアだ!なぜ分からないんです!?」
シャスタは彼女の両手首を掴み、怒鳴るように叫んだ。
「離して!私はマクファーソンよ!ナイトじゃ……貴方の奥さんじゃない!」
もがく彼女の胸元からネックレスが顔を出す。
「これ……は?」
ネックレスに付いているリングを見て、驚き尋ねるシャスタ。
「御守りよ。私が産まれた時に握ってたの。そこに書いてある名前を付けたって……亡くなった両親が言ってたわ。」
赤ん坊が何かを握って産まれてくる事は極稀にある事だ。
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