95人が本棚に入れています
本棚に追加
海岸に着くと彼女は海辺を歩いていた。
『ああ……シルビア……』
まるで時が戻ったようだ。
昔と変わらぬ彼女が歩いている。
そのしぐさも変わっていない。
シャスタはそんな彼女が愛しくて堪らなかった。
彼女がこの胸に飛び込んできてくれれば……愛していると言ってくれさえすれば……もう何も望まない。
シャスタは望みを託してシルビアの傍へ近づいた。
「ありがとう、来てくれて……。」
シャスタに気づくと彼女はにっこり微笑んでそう言った。
『いいえ、嬉しいです。どうぞ、乗って下さい。』
ドアを開けると彼女は戸惑っていた。
「ごめんなさい、もう少し歩かせて……。」
『はい。』
ドアを閉め、彼女の横についてゆっくり走る。
「本当だったのね。貴方がコンピュータだって事……。」
『嫌……ですか?機械に愛されるのは……。』
その質問に彼女は首を振った。
「昨夜ね、夢を見たの。この海岸を貴方と一緒に歩いている夢。私の左手にはこのリングがあったわ。あれはきっと前世の記憶なのね。夢の中で私……幸せだった……。」
『私達はいつもここでデートしていたんですよ。』
その言葉で彼女は確信した。
.
最初のコメントを投稿しよう!