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『私は彼女が旅行していると考えています。タイムトラベルですよ。時を越えて帰って来るんですから。』
「ん~。そう考えるとそうだな。でもお前は良いよ。彼女の生まれ変わりを待てるんだからな。」
『貴方もスティービーを待ってはどうです?』
「馬鹿だな。彼女がすぐに生まれ変わっていても俺は46だぜ?20の彼女とは親子ほど歳が離れてる。お前だから可能なんだよ。人間のお前は26のままだ。6歳ぐらいならどうって事ないだろ?」
『そうですね。でも早く逢えないと私の方が年下になってしまうかも。』
「姉さん女房ってのも悪くないだろ?」
『ええ。別に構いません。彼女が戻ってくれればどちらでも……。』
何よりも、早く彼女に逢いたいのだ。
「もうすぐ逢えるさ。」
『私もそんな気がします。あ、明日は私達の結婚記念日です。いつも通り休暇を頂きますよ。』
「また海へ行くのか?」
『はい。二人の思い出の場所ですから、生まれ変わった彼女もそこへ行くと思うんです。』
毎年結婚記念日になるとシャスタは海に出掛けていた。
自分が望まなくてもこの日は人間になる。
彼女のいない所で人間になるのは嫌だったが、今では人の姿の方が互いに見つけやすいだろうと考えを変えていた。
「あ、そうだ。一つ忠告しとく。彼女が見つからないからって他の女に手を出すんじゃないぞ。」
『貴方と一緒にしないで下さい。私は彼女だけを愛しているんです。他の女性など目ではありません。』
シャスタは昔と変わらず一人の女性を愛している。
そんな彼が浮気などできるはずがないのである。
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