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「大丈夫か?珎」
歩きながら飛鳥が心配して声をかけてくる。
「う、うん、なんとか……」
と、返事をしたものの身体は鉄になったみたいに重い。
「……ごめん」
突然飛鳥が謝ってくる。
「?どうしたの?急に」
「……俺が、治療してやれたらよかったんだけど……」
魔法にはもちろん回復魔法もあるし、飛鳥が使えることも僕は知っている。
……だけど……
「飛鳥が謝ることじゃないよ。
て言うか、どうして飛鳥が謝るのさ?」
「でも……ごめん……」
「飛鳥謝るの必要なんかないって言ってるのに。
飛鳥が治療出来ないのは、飛鳥が『天才』だからじゃなくて、僕が『落ちこぼれ』のせいなんだから」
そう、誰もが口をそろえて僕を『落ちこぼれ』と呼ぶ。
そして飛鳥は『天才』。
自分でも、そんなことは充分に理解している。
もちろん、飛鳥は『天才』だと思ってる、けどライバルの様な感覚さえ持っている。
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