BSS #3 『天気雨』

2/7
1人が本棚に入れています
本棚に追加
/27ページ
ざぁぁぁ。 ざぁぁぁ。 雨が降っている。 顔を濡らしながら私は空を見上げる。 空は厚い雲で覆われていた。 「雨か……」 そう呟き、私は営舎に入った。 既に他の将軍は集まっているようだ。 主君の前なので、一応鎧と剣は衛兵に預ける。 「攻めるべきだ」 普段は末席で縮こまって、声高に名目だけの『平和』を叫んでるような軍師が、今日に限って盛んに発言していた。 何故ここにきて意見を変えているのか、その真意はわからないが、どの道自分の保身のためだろう。 臆病者が。 私はひそかに悪態をついた。
/27ページ

最初のコメントを投稿しよう!