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翌日、私は国の全軍を率いて出陣した。
世間からは国第一の将軍と敬意を払われている。
確かにその自負はある。
だが、私は主君の命令をただこなしているだけだった。
『勝て』と命じられたから、その戦で勝った。
『救え』と命じられたから、同盟国を救った。
『滅せ』と命じられたから、敵対国を滅した。
それだけの話である。
「全軍、進め」
短くそう言って、軍を動かす。
整然と進む自軍の精鋭を見ていると、胸が透く感覚がある。
この感覚が、私は好きだった。
数刻進んだ。
しかし、何かおかしい。
何か、普段とは違う感覚が自分を支配している。
周りを見た。
平原には羊しかいなかった。
それ自体はなにもおかしくはない。
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