BSS #3 『天気雨』

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翌日、私は国の全軍を率いて出陣した。 世間からは国第一の将軍と敬意を払われている。 確かにその自負はある。 だが、私は主君の命令をただこなしているだけだった。 『勝て』と命じられたから、その戦で勝った。 『救え』と命じられたから、同盟国を救った。 『滅せ』と命じられたから、敵対国を滅した。 それだけの話である。 「全軍、進め」 短くそう言って、軍を動かす。 整然と進む自軍の精鋭を見ていると、胸が透く感覚がある。 この感覚が、私は好きだった。 数刻進んだ。 しかし、何かおかしい。 何か、普段とは違う感覚が自分を支配している。 周りを見た。 平原には羊しかいなかった。 それ自体はなにもおかしくはない。
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