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「……そうか」
私は気づく。
牧人が居ないのだ。
この辺りには野生の羊などいないから。
国境に撤収の布告はされるが、遊牧の民は即座に動けばいいので軍隊が近づいても家畜を見捨てはしないのだ。
「なぜ居なくなったのだろうか」
馬を進めながらふと考える。
飯時か。
違う、今はもうすでに中天を過ぎている。
では、なんだ。
不審に思って私はとりあえず軍を止める命令を出そうとする。
その時。
周囲から声が上がった。
「奇襲だ!」
兵の叫び声が聞こえる。
馬鹿な。
斥候隊を、確かに放っていたはずなのに。
みると敵国の旗が見える。
それも膨大な数が。
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