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私は一人で立っていた。
馬は倒れ、剣は毀れ、鎧は砕け、兜は割れていた。
そして、私の前に立つのは、敵の弓兵隊。
その隣に、あの弱腰軍師が、意地の悪い笑みを浮かべて立っていた。
内応だったのか。
そうつぶやこうとしたが、何も出てこなかった。
道理で、斥候隊が帰ってこないわけだ。
味方の軍師に呼ばれれば、兵は付いていくだろう。
奴は私に向かって何か言っていた。
正直、もう何も聞こえない。
そして最後に、怒鳴るように叫んで、手を振り上げ、そして振り下ろした。
敵の弓兵隊の、弓弦が擦れる音がする。
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