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困ったと思ったその時、僕は思わず壁際の死角に隠れた。
彼女がいのだ。
脳外科からでてきた彼女は、やはり大きなスケッチブックを持っていた。
[何故隠れる必要があるのだ]、僕は心でつぶやいた。しかし一度隠れた建前上、今出たら余計恥ずかしい気がした。 パタパタと小走り音が聞こえてきた。
「あの、もしかして」
声がした。
よく響く綺麗な声だった。
「なんでしょう…」
僕は壁に顔を向けながら答えた。 [し…しにたい…] 恥ずかしすぎて本気でそう思った。耳が猿より赤くなってる気がした。穴が合ったら入りたかった。
「いつも公園に着ていた人ですよね。私、木の下でスケッチしてにいた者です」
そういうと彼女は、笑顔で手に持ったスケッチを僕の方に差し出すように見せてきた。
「あ、どうもです…」
未だ壁から顔を離せなかった。もう殺してくれと言いたいくらい恥ずかしく、心臓が緊張のせいで激しく鼓動を打っている。これは、恋というやつなのだろうか…。
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