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「何で僕に病気の事を話したの?ごまかそうと思えば出来たと思ったんだ」
彼女はゆっくりと答えた。
「私は、少し前まではすごかったですよ。死にたくありませんでしたし、とても怖かった。」
彼女は、この前と同じように淡々と語って言った。しかし、心なしかこの前よりは声が穏やかな気がした。
「しかし、いくら涙を流したって、どれだけ苦しんだって何も変わりません」
確かに、その通りではあった。
「だから、受け入れたの?」
僕も彼女が言わんとする事を先に言った。
「そうですね、しかし時間はすごくかかりましたよ。やっと今があるって感じです」
彼女は苦笑いしながら答えた。彼女の笑顔を想像したら、僕までニヤけてしまった。
「ですが、やはり私も今でも怖いのは変わりません。ただ受け入れただけですから。だから話したのかもしれません」
なるほどと思った。人に話せばその重みが少しは和らぐかもしれない。そう思って僕に話したのだろう。しかし、どこかで「あなたが好きだから」何て言われるのを期待していた自分がいた。
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