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咲は樹の下にシートを引いて、その端の方にチョコンと座っていた。
僕は公園の中に入り、彼女の隣に静かに腰を降ろした。
[やばい本当に胃が痛い…]
緊張はピークに達していた。
咲は心配そうに僕の顔を覗いていた。
「大丈夫ですか?とても体調悪そうに見えますけど…」
体調悪いのは本当かもしれない。胃が大変な事になっている。
「いや…緊張で胃が痛くて…」
咲は驚いたように目を見開き、僕を見つめた。
「そんな、緊張なんてなさらないで良いのに…」
咲はどんな表情をして良いかわからない様子で、困ったように顔をしかめていた。そんな表情一つ一つが愛おしく感じられ、止まる事のない時間の流れを止めたい気持ちになる。
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