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僕は何を言えば良い?
元気を出して。
大丈夫。
病気の事など気にしない方が良い。
思いつくのはありきたり過ぎた言葉だけだった。そんな上辺だけの言葉、僕なら言われたくない。何を咲に言ってあげれば良い。誰か教えてくれ…
「涼さん」
長い沈黙の中、咲は言葉を発した。
彼女の口調は変わっていた。何か強い意思が感じれるような口調だった。
「私はもう覚悟を決めた、そう言ったはずだよ。」
咲は口を止めなかった。彼女はこんなにも今を力強く生きようとしている。それなのに僕は…
「だから……だから涼には、悲しんで欲しくない。私だって本当は怖くて怖くて仕方がない。強がっていたって本当は怖いのよ」
咲は、泣いていた。それでもなお、僕を見続けている。
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