また再び樹の下で

春のピクニック

僕は………

僕は、咲に言うべき言葉。一つだけわかった。
彼女が求めている言葉。彼女の瞳から流れる涙の一つ一つが教えてくれるようだった。

「咲……　僕も咲と一緒に病気と戦う。咲が背負っている物を、僕も一緒に担ぐ。」

咲は大粒の涙をさらに流し、笑顔で何度も頷いていた。
咲は泣きながらも、嬉しそうに笑っていた。同じ涙なのに、悲し涙が嬉しい涙に変わっているような、そんな涙に思えた。

僕はポケットからハンカチを取り出すと、そっと彼女の瞳に当てた。

「ずっと一緒に居たい」

伝えられた想い。
咲の体を抱き寄せ、静かに抱きしめていた。