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「チィッ!」
誠治の顔が歪む。
無関係でありながら、二人を巻き込んでしまい、しかも二人の力が無いと入れない状況だということに苛立ち、腑甲斐なく思う。
しかし、ここで止まっていても何もならない、誰も救えないので、誠治は走りだす。
「任せたぞ!」
誠治はそう叫びながら、二人が作った黒服の間の道を掛けていった。
「さーて、一丁派手にやりますかぁ!」
「日頃のストレス、晴らさせていただきますわ!」
誠治は黒服達をくぐり抜け、建物内へと入っていった
「一体、何処に居るんだ?」
誠治は一体だけ狗族を玲菜に借りて、それを頼りに建物内を走り回る。
そして、一つの扉へ行き着いた。
「此処か……」
見るからに重く、堅く閉ざされた扉の前。
誠治は押してみたり引いてみたりしてみたが、びくともしない。
「仕方ねぇ、壊す!」
誠治は腰を少し沈める。
そして体を右腕の方へ捻り、その反動で右拳を繰り出す。
誠治の拳が扉を殴る。
凄まじい轟音と共に扉は砕け、大穴が一つ開いた。
「これで通れるだろ……」
誠治は中に入る。
扉の中は体育館程の大きさになっており、それなりに広かった。
そして中に、二人と一体の影があった。
一人は金髪で白衣の男。
一人は縛られたひかる。
一体は機械のものである。
「あれー?なんでここまで侵入者来てんのかなー?連中は仕事できないねぇ」
金髪の男が口を開く。
誠治に向けてではなく、ここにいない黒服を卑下する言葉だ。
「まぁいいや、コイツのテストも兼ねて、排除しちゃいますかー」
その言葉に機械はブゥンと作動音を上げ、目にあたるであろう部分を赤く光らせる。
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