魔法が使えない魔法使い

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少年は走る。 まるで足を止めたら全てが終わってしまうかの様な、そんな様な顔で。 「ハッハッハッハッ……」 心臓は凄まじいスピードで絶えず動き、肺は休む間もなく伸縮を機械的に繰り返す。 足は鉛を括り付けた様に重く感じ、視界は軽度の酸欠を起こしているのか多少のぼやけが有るように感じていることだろう。 しかし少年には、その様になっても走り続けなくてはならない理由がある。 何故なら 「ちっ…………遅刻だぁァァァァァ!」 学校に遅刻しそうだからである。 現在時刻8時26分。 彼は、8時30分までに教室に入らなくては遅刻となる。 「ちょっ、ヤベッ!息が、足が、キッツい!」 走りながらそう呟く彼の名は、 御影 誠治(みかげ せいじ) 魔法学校、第一学年。 身長は高くもなく、低くもない。 黒髪で、寝癖なのか所々跳ねている髪をしている。 黒を基調とした、と言うよりほぼ黒だけで構成されたファッションをしている。 「まっ……間に合えぇぇぇ!」
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