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「あ、そうそう子羊の焼き加減はレアにしてね」
僕は自分の耳を疑った。レアだって?
奥さんアンタがお任せでって言ったんじゃないですか。それに……。
「子羊は只今、ベストの状態に焼き上げられています。それに、今から焼き直すとなるとお時間少々頂く事になります。それに、レアはあまりオススメ出来ませんよ」
僕はベストを強調しながら、兄さんに気付かれないよう、説得に近い言い方で伝えた。
「別に構わないわ。私はレアが好きなの」婦人は口をへの字に曲げて言った。
ミッション失敗。
アンタは構わないだろうが、こっちはそれじゃあ済まない。
僕は、口で、かしこまりました、一方、心の中では(あほ)、と言い厨房に向かった。
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