悪夢

3/5
前へ
/71ページ
次へ
  そのまま何をするでもなくボーッとテレビを見て、いいテレビが無くなると電源を切った。 シーンとした部屋の中、話し掛けようかと悩んでいたら、雛が口を開いた。 「…横…」 「ん、どないしたん?」 不安気な雛の声に、優しく諭すように話し掛けると、雛は少しだけ離れて視線を逸らしながら言った。 「…昨日な…怖い夢見てん…」 …夢…? あぁ…それでくっ付いとったんか。 案外怖いの苦手やもんな。 「…横、が…」 …ん、俺? 「…すぐ近くに居たのに、だんだん…小さくなっていって…、追い掛けても追い掛けても届かなくて…最後に、“さよなら”って…」 少し離れた雛の肩が小さく震えていた。  
/71ページ

最初のコメントを投稿しよう!

468人が本棚に入れています
本棚に追加