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決意を胸にした帰り道、俺は奈々ちゃんにある疑問をぶつけてみた。
「なぁ、奈々ちゃん。今日何があったんだ?」
内容は、どーでも良いような決意とは違い、割と真剣な内容。俺が立ち入っちゃいけない内容なのかもしれない。でも、智樹の兄として、これだけはハッキリとさせておきたい。
―――どうして遅れたとは聞かない。
遅れた理由……唯でさえ、優先度上位に智樹がいる奈々ちゃんのことだからそれをも上回る何か。それが奈々ちゃんの身に降り掛かったと考えるのが順当な考えかな。
しかも、あの表情……何かあったに違いない!……いや、あったんだろう!………あったら良いなぁ………単なる俺の思い過ごしだったして………
「あは……私、顔に出てました?精一杯隠したつもりだったんですけど………」
どうやら俺の予測は当たっていたらしい。
俺の言葉の意味を察したのか奈々ちゃんは弱弱しく笑った。
「……何があったんだ?」
言いだすのに抵抗はあった。でも、やっぱり聞かずにはいられなかった。
「………じゃあ、今から私の言うこと、信じられないかもしれませんが、すべてちゃんとした事実なので信じて下さい」
それから俺たちは、まぁ立ち話もなんだから……ということで帰り道にある団地の公園に来てベンチに腰掛けている。
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