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「――ここ見て下さい」
奈々ちゃんは目に溜まった涙を啜りながら、紙のある一文を指さした。
そこには、こう書かれている。
『―――しかし、負けたら貴方には、貴方が一番大切な者を失うことになる。―――』
「…………ん?―――――は?」
あまりの出来事に頭がショートするところをギリギリのところで繋ぎとめる。
どういうことだ!?
確かにあの時、ルクシオは俺の一番大切な物って―――
その時、さっきまでの思考が蘇る。
――意味の捉え間違いもしないだろうし――
俺は無意識の内に『モノ』を『物』………つまり俺の命として捕らえていた。でも、この文章を読む限りでは何度読み返しても『者』……つまり一番大切な人が勝負に賭けられていることになる。
言葉の捉え間違い。俺は見事に引っ掛かっていた。
まさか自分が引っ掛かることになろうとは夢にも思っていなかった。……アレもコレもルクシオのせいだ。俺は悪くない………
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