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責任転嫁が終わったところで、奈々ちゃんに確認を取る。もしかしたら、俺の目の錯覚かもしれないしな。
「奈々ちゃん、これって……」
奈々ちゃんにとって一番大切な人と言ったら、親でも友人でもない。紛れもなく智樹だろう。
だから今日、様子がおかしかったのか。それなら辻褄が合う。スッキリする。
最愛の人が賭の対象で負けたら、さよなら!ってなった日には………余程、神経図太いヤツ以外はパニックになったり、挙動不審になるだろうな。
まだ戦ってもいないけど、考えるだけで嫌になる。百歩譲って俺が巻き込まれたのは仕方がないことだと考えよう。だけど、そこにさらに第三者を巻き込むなよ!どれだけの人間を巻き込めば気が済むんだよ!
「私、どうしたら良いんでしょう……」
もちろん俺は、その答えを知らない。あるなら俺が知りたいくらいだ。
「………」
答えを知らない俺は無言。
必然的に静寂が辺りを包み、街灯だけが途惑う俺達の姿を淡く儚しげに映し出している。
正解なんてあるのか?こんなスケールの話、起こること自体初めてなんじゃねーか?………なら、自分たちで答えを作るまでだ!
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