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「私、智樹君のために頑張ります!こんな夜遅くまでありがとうございました。さすが、私たちのお兄さんです!」
そう言うと奈々ちゃんは立ち上がりお礼を言ってお辞儀をすると、「ここからすぐなんでもう平気です」と言って走り去っていった。
ここで俺も参加者だって打ち明けておけば良かったかもしれない。でも、さっきの奈々ちゃんの精神状態で打ち明けるのには勇気が必要だった。
自分を支える核なる存在が自分のせいで壊れてしまう。
少しはマシになったとしても、今の奈々ちゃんは脆く儚い。ちょっとした衝撃にも耐えきれずに、崩壊してしまうかもしれない。
強がっていられるうちに奈々ちゃんを仲間にしなきゃなぁ……
でも、仲間にするにも、とりあえず奈々ちゃんに落ち着いてもらわなきゃいけないので、時間が必要だった。
「……さてと、俺も帰りますか!」
―――――
――――
―――
『チャポーーン』
体温と水温の関係で、足先に多少の痛みを感じつつも、ゆっくりと肩まで浸かる。
「いや~、やっぱ風呂って良いな~」
冷え切った体を瞬時に解凍、保温、温め。これ以上に身体に染み渡る幸福感はないかもしれない。
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